2025年10月12日沖縄タイムス ワラビー掲載

連載によせて...
「風の島からの便り」はどのような物語ですか
風の島には、季節風がさまざまな生き物やモノを運んできます。物語は、そんな風の島に住む少女チルーがまだ見ぬ友へ宛てて書いた手紙の内容に沿って進みます。絵本作家savaと詩人・野原誠喜が織りなす不思議な物語をお楽しみください。
作品を通してどのようなことを読者に伝えたいですか
日頃から、こどもたちの未来を明るく照らすような物語が作りたいと思っています。こどもたちに「世界には楽しいことがたくさんあるよ。美しいものがいっぱいあるよ」ということを伝えたいです。ここにいながら、時空を超えて、現実から遠い場所へ飛んでいける。それが絵本の世界です。ただ、現実世界をたくさん見て感じることもとても大切だと思います。風の島には何があるんだろう。どんな生き物が住んでいるんだろう。どんなことが起きるんだろう。そんな風に、今感じたものから想像を膨らませることの面白さを伝えられたら嬉しいです。
savaさんにとって沖縄ってどんな場所ですか
沖縄は絵本の種が山ほど眠る宝島です。人も生き物もとても魅力的な場所です。ガジュマルのように不思議な形をした木があったり、絵の具では表現できないような鮮やかな世界が海の中に広がっていたりと、魅力的なモチーフが多く存在します。「マジムン」、「ウリズンベエ」、「カジマヤー」など、不思議な感覚にさせる面白い響きの言葉が多いところも好きです。
私は土地のお話を人から聞くのが大好きです。言葉の由来や言い伝え、格言など、その土地に昔から伝わる話を、私は宝物のようにコレクションしています。土地を訪ねて、人に話を聞いて、村史や字史を調べてそこから着想を得た作品がたくさんあります。
savaさんにとって絵やアートはどんな存在ですか
アートは、自分の想っていることや願い・希望を、言葉を超えて伝えることのできる素晴らしい方法だと思っています。テーマを決めるとき、制作に取り掛かるときは孤独と迷いの日々が続きます。しかし、苦労しながらも完成させた作品が形になったとき、物語という形で伝えることができたとき、私は救われた気持ちになります。アートは、誰かの心に直接語りかけることのできる最高の手段でもあります。
連載を通して楽しみにしていること
今頬に触れる風を感じてみよう。その風はどんな風だろう。今住んでいる自分の地域をたくさん歩いて面白いものがあるか探検してみよう。風の島はどこにあるんだろう。こどもたちが、そんなことを考えたり感じてくれたりすることが楽しみです。










