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沖縄の伝え話 創作 絵と歌
「あこなわ 歩紀」

 まちに眠る伝え話を聞き描きして6年が経った。絵本作家になることを決意し再び沖縄の地に足を踏み入れ住んだ先は、沖縄市(愛称:コザ)の古びた商店街のど真ん中。小さなカネボウ化粧品店跡のビル。朝になるとラジオが流れ、天ぷらかじゃ〜(におい)に目の前の製菓店から焼き立てのケーキの香りがし、シャッターを開ける音が聴こえてきたら、いつもの商店街の風景が始まる。

 外に出れば人に逢い、話を聞けば出てくる物語のタネ。ここは、絵本の題材が眠る宝島だと思った。  

 そこから地域の人しか知らない話だとか、一人一人のヒストリーを聞くことが楽しくて仕方なくて、それを絵本にし歌にした。そのうち範囲は広がって、沖縄タイムス紙・副読誌『週刊ほ〜むぷらざ』での連載をきっかけに24地域の県内市町村の物語が完成した。

 

 私は民話研究家でも歴史学者でもない。書物や写真で残っていないものも、人から人へと伝わる物語は、気付かぬところですぐに消えて行ってしまうのだ。

 

 あこなわ歩紀は、歌って歩いて読む絵本になっているので、ぜひこの本を片手に口づさみながら地域に光る物語を読み歩いてほしい。

 高僧・鑑真(がんじん)を乗せた遣唐使の帰り舟が、海に浮かぶ縄のように長い島・おきなわを見て、阿児奈波(あこなわ)と記したことから、おきなわじまの名前の由来となっている。

絵本作家sava

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